株がプライスダウン

品ぞろえも、店内で調理して品質がバラバラだったサンドイッチをやめ、工場で調理して味覚の統一と向上を図った。
大容量パック商品が売り場を占拠していたが、これを少量パックの商品にした。 過度な値引き販売も姿を消した。

米国の「S」は女性と子供が入りづらいイメージが定着していたが、改装後は徐々に女性や子供の入店比率が高まっていった。 改装効果は直ちに現れ、売上高は改装前に比べて平均で一7%増、最も高い伸びを見せた店舗は35%増にもなった。
当時、S社は全米に約6600店あり、その中のわずか50店と全体の1%にも満たない店舗数ではあるが、改革の手応えをアメリカの経営陣に実感させたことは大きかった。 会長のマシューズは「我々は企業文化を変えようとしている」と社内の意識改革に並々ならぬ意欲を見せ、92年7月には改革の手法に懐疑的だった役員3人を更迭した。
この人事改革は日本側が指示したものではなく、マシューズ自らが下した。 オースチンの改装の実績を踏まえ、92年からはネバダ州リノやミシガン州デトロイトなどのフランチャイズチェーン(FC)店の改装に取りかかった。
これまで本部からFC店に出向いて経営指導するOFC(店舗経営相談員)は「経営指導もほとんど行わず、販売代金の回収だけで帰ってしまう」と、加盟店主(オーナー)らは不満を募らせていた。 OFCと加盟店主の関係は「けんかすれすれの状態だったこともあった」という。
改装に合わせて、OFCへの再教育を始めた。 商品知識や売り場作りの方法などを加盟店主にわかりやすく説明し、売り場の改善につなげるためだった。
それまでのS社が手がけていた米国のSは、地域によって内装も外装も店舗什器も統一されていなかったが、大掛かりな店舗改装では日本のSを参考に、看板から内装外装、店内レイアウトなどを統一し、現在の「S」となった。 高度な情報システムがお家芸の日本のSだが、あえてS社にはPOSレジすら導入しようとしなかった。
店舗で実際に何が売れているのかを精算時に実感させるため、旧式のレジを使い続けることにした。 Y堂やSで実践している単品管理の考え方を基礎から学ぶためのものだった。
毎日、商品の売れ行きなどを確認する単品管理社長のMらは、「商品をよく見ろ」「何か売れているかを紙に書いてチェックしろ」「在庫管理をしっかりしろ」と言い続けた。 オースチンの実験店では、店舗の従業員が朝晩2回、陳列している商品数を手作業でリストに記入し販売数量をチェックした。
こうした地道な作業によって、どの商品が売れており、どの商品が売れないかを確認させ、売れ行きの悪い「死に筋商品」を陳列棚から外して空いたスペースに新製品を並べた。

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